「指は曲がっていても
天をさすには少しの不自由も感じない」(志樹逸馬)
――隔離の中で生まれた詩(ことば)と失われゆく記憶を残すために
明治以降、約90年続いた隔離の歴史。
全国に13ある国立ハンセン病療養所には、その記憶を色濃く残した「風景」と
その中でしか生まれえなかった「言葉」がある。
8×10や35mmのフィルムカメラを携え、3年を掛けて全国の療養所を訪れた石井正則は
そこで感じた「空気」を写真に収めてきた。
カラーフィルムで撮影した約100点の写真に、入所者の方々の力強い詩 23篇を掲載。
木村哲也氏(国立ハンセン病資料館学芸員)による、ハンセン病政策と療養所の歴史についての解説も収録する。
【掲載詩】
国本昭夫「妹の手紙を見て」
久保瑛二「心のたより」
水野きよし「母」
塔和子「金魚」
厚木叡「伝説」
森春樹「微笑まなかった男」
秋田穂月「島の火葬場にて」
中石としお「石女」
北浜知代「解剖」
島村静雨「海と断層」
C・トロチェフ「びよういんのさくら」
越一人「栗生望学園」
近藤宏一「舌読」
西羽四郎「癩憲章」
森中正光「指」
戸田次郎「解剖室の感想」
福寿美津男「特別病室」
藤本とし「呼吸のおくで」
島田等「橋」
谺雄二「ライは長い旅だから」
堂崎しげる「ひかりについて」
志樹逸馬「曲った手で」
島比呂志「病める樹よ」