どれだけ賢ければ波風立てずに生きて行けるのだろう。
どれだけ美しければ世間にだいじにされるのだろう。
どれだけまっすぐに育てばすこやかな性欲が宿るのだろう。
どれだけ性格がよければ
今のわたしが全く愛せない人たちを愛せるのだろう。
〈パパ〉日夏、
〈ママ〉真汐、
〈王子〉空穂
それぞれのかかえる孤独ゆえに、家族のように親密な三人の女子高校生。
同級生の「わたしたち」の見守る中、愛も性も手探りの三人の関係はしだいに
ゆらぎ、変容してゆく。
家族、少女、友愛といった言葉の意味を新たにする、
時代を切り開く作家・松浦理英子が到達しえた傑作。
泉鏡花文学賞受賞
圧倒的感動を呼んだ名作、待望の文庫化。
解説・村田沙耶香