本書は、哲学・心理学・脳科学が交差する領域に新しく誕生しつつある「意識科学」の現在の姿を体系的に提示した書である。心の状態と脳の物理的状態がどのようにかかわっているのかについて、神経科学理論や心の表象理論を軸に、理論的・経験主義的・神経科学的な側面をバランスよく論じている。前半は主として志向性とクオリアの問題を扱い、後半では表象がどのように心で組織化されて志向性の源になっていくのかを検討する。