手を洗え。外に出るな。
江戸で三万人が死んだ九年前の疫病(コレラ)大流行…。
悪夢再熱の兆に立ち向かう蘭方医で軍医の手塚良仙は漫画家手塚治虫の曽祖父。時代の大転換期に人々は…。(第四話『うつろ舟』)
船宿「篠屋」の船着場に奇妙な屋根船が流れ着いた。船頭らしき男が一人、死にかけている。
近くにいた蘭方医で軍医取締の手塚良仙が駆け付けた。良仙は後の漫画家治虫の曽祖父。
九年前に大流行し江戸で三万人が死んだ“安政コレラ”の症状に似ている。
二人いたらしい客を早く捜さないと、あの悪夢が再現してしまう。
江戸を悪疫から守るための闘いが始まった。篠屋の綾は……。
◆ 著者について
森 真沙子 もり・まさこ
奈良女子大学文学部卒業後、雑誌、週刊誌の記者を経て1979年『バラード・イン・ブルー』で第33回小説現代新人賞を受賞し、文壇デビュー。
以後、近代史や現代史に材を採ったミステリー作品で活躍し、近年では中世、古代史にも範囲を広げ、歴史推理や歴史伝奇作品を精力的に発表している。
◆ 好評既刊
時雨橋あじさい亭 全 3 巻
箱館奉行所始末 全 5 巻
日本橋物語 全 10 巻
( いずれも二見時代小説文庫 )