吉原を抜け、下谷の旗本屋敷内にあらたな診療所を開いた蘭方医の沢村伊織。
遊女や遊郭の金持ち客などの依頼とは縁遠くなったものの、
ではごく普通の医者になったかと言えば、それもちと違う。
かつての学友である奉行所同心・中島粂之丞の要請で、
伊織は、町奉行所の実質的な検死医とも言える存在となっていたのだ。
そんな伊織の診療所に、怪我を負った按摩が転がりこんでくる。
手当を終えた伊織に、按摩はおのれが巻きこまれた、なんとも奇妙な事件を告白する。
そしてその一件は、謎の亡骸と消えた大金、過去の悲惨な殺しの裏側へと、密接に絡んでくるのだが……。
最新医術を駆使し、事件の謎に迫る大好評シリーズ・第六弾!