まさか、あんなことが起こるなんて思わなかった。あふれだす血、動かない体。信じたくなくて、認めたくなくて、私は時間を止めた。すべてが変わってしまう前の、幸せな時のままでいたくて-。「走ること」をかたくなに拒む高校生・朝野さつきの、いたいけな表情の裏に封印された恐怖。「学校」という閉鎖社会で、純粋さゆえに追いつめられ傷つけられる者たちの、せつなすぎる物語。