遠田湊には「秘密」がある――。穏やかな港町の学園で、湊は司書として働いている。と同時に、幼なじみの凪くんを手伝ってもいる。遠田家の"家業"とでも呼ぶべきものだ。……石段の先、鳥居を潜ると二人が暮らす小さな洋館、海月館(くらげかん)が現れる。そこは海神(わだつみ)を祀る場所、死者の集う館。死んでも忘れることのできなかった後悔を抱えて、今宵も客人が訪れる……。 湊は、たゆたう海月たちの向こうに死者の記憶をみる。切ない想いを海に還す、葬送のミステリー!