「私たちって、ずうっと不幸にならないような気がしない?」。宝塚の娘役・千花は歌舞伎界の御曹子・路之介との恋に浮かれ、親友でライターの萌は年上の映画評論家・三ツ岡との贅沢な不倫に溺れている。二人の美しい娘たちの前には、甘やかな未来しか広がっていないかに見えたが……上流社会を舞台に、幸福の絶頂とその翳(かげ)りを描き切った傑作恋愛長編。解説・酒井順子
宝塚の娘役・千花
名門一族出身のライター・萌
花の盛りのように美しい娘たちに忍び寄る、翳りの季節
絢爛と頽廃。林真理子文学の名作!
路之介と結婚するためには、どんな小さな小石も今から取り除いておきたいと思う。そしてその時、千花は大切な事実に気づき、ため息をつく。自分はまだ路之介からきちんとプロポーズされていないのである。(本文より)