言葉には、意味を越えて心に届く力がある――。七世紀前半には形態を整え、江戸時代まで続いた和歌。なぜ三十一文字の定型詩は千二百年以上も続いたのだろう? 額田王から、紀貫之、紫式部、西行、藤原俊成・定家、細川幽斎、香川景樹まで。歌人たちが紡いできた言葉と言葉は、本歌取りや掛詞、縁語などを通して網の目のようにつながり広がっている。連綿と続く「言葉の網」を通史的に読み解き系譜化し、和歌史全体をとらえ直す!
【目次】
額田王─宮廷に演じる
柿本人麻呂─劇を作る
山上憶良─到来するものへのまなざし
大伴家持─和歌史を始める
在原業平─生の境界で歌う
紀貫之─言葉の想像力を展開する
曾禰好忠─身の想像力を解放する
源氏物語の和歌─創作感覚を刺激する
和泉式部─生と死を越境する
源俊頼─連動する言葉と想像力
西行─変貌を演じる
藤原俊成・定家─「古典」をつくる
京極為兼と前期京極派─あわいにひそむ意志
頓阿─正統派和歌の普及者
正徹─想念と感覚にまぎれる
三条西実隆─「みやび」を守り立てた文化人
細川幽斎─戦国を生き抜く歌道
後水尾院─和歌の価値を高める
香川景樹─溶け込んでいく「しらべ」