日本の「母親中心」の子育ての歴史をたどる。「子育て」要求の声が確実に強まっている。「少子化解消のために子どもを産む」「出産後は仕事に復帰」など両立不可能な期待に燃え尽きていく母親へのメッセージ。(講談社現代新書)
いつから「子育て」は母親まかせになったのだろう。
母性の歴史をひもときながら、母親の悩み、子どもの希望など母子関係の真実を探る。どんなに頑張っても、母親が子どもに絶対的な影響を与えるのは不可能なことなのだ、と考えてみてはどうだろう。
(著者からの一言)
私には子育て経験はありませんが、精神科の診察室で多くの母親たちのSOSを聞いてきました。
子育ての忙しさ以上に、母親たちを苦しめているのは「育児は母性あふれる母の手ひとつで」「三歳まではつきっきりで」「脳の開発はゼロ歳から」といった子育てにまつわる数々の教訓やメッセージです。
NHKの「知る楽」という番組をきっかけに私は、母親を生きづらくしているこれらの教訓の根拠を、歴史を振り返りながら確かめることになりました。
子育てって、いったい誰のものなのでしょう。読者のみなさんといっしょに考えることができれば、と願っています。