最高の旅とはさびしい旅にほかなるまい。人生の最深部に触れる、通り過ぎた町の記憶。泡粒のように浮かんできては消えてゆく旅先の記憶。ペスカーラ、名瀬、シャトー= シノン、台南、トラステヴェレ、コネマラ、タクナ、長春、中軽井沢……。日常を離れた旅の途上で、人は凝り固まってしまっていた観念や思い込みを脱ぎ捨て、心も〓も身軽になる。こんな時代だからこそ読みたい、活字で旅する極上の20篇。