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  • 著者遠田潤子
  • 出版社小学館
  • ISBN9784093866101
  • 発行2021年4月

緑陰深きところ

業を背負う男たち、奇蹟のロードノベル
兄さん、今からあんたを殺しに行くよ――。
大阪ミナミでカレー屋を営む三宅紘二郎のもとに、ある日一通の絵葉書が届いた。葉書に書かれた漢詩に、紘二郎の記憶の蓋が開く。50年前、紘二郎の住む廃病院で起きた心中事件。愛した女、その娘、彼女たちを斬殺した兄……人生の終盤を迎えた紘二郎は、決意を固めた。兄を殺す、と。
思い出の旧車を手に入れ、兄の住む大分日田へ向かおうとする紘二郎の前に現れたのは、中古車店の元店長を名乗る金髪の若者・リュウだった。紘二郎の買ったコンテッサはニコイチの不良車で危険だと言う。必死に止めようとする様子にほだされ、紘二郎は大分への交代運転手としてリュウを雇うことに。孫ほど年の離れた男との不思議な旅が始まった。
かつて女と暮らした町、リュウと因縁のある男との邂逅、コンテッサの故障……道中のさまざま出来事から、明らかになってゆく二人の昏い過去。あまりにも陰惨な心中事件の真相とは。リュウの身体に隠された秘密とは――? 旅の果て、辿りついた先で二人の前に広がる光景に、心揺さぶられる感動作。2020年直木賞候補となり、いま最も注目を集める作家が贈る、渾身の一冊。

【編集担当からのおすすめ情報】
『雪の鉄樹』で本の雑誌増刊『おすすめ文庫王国2017』第1位、『冬雷』で「本の雑誌 2017年上半期エンターテインメント・ベスト10」第2位、第1回未来屋小説大賞 、『オブリヴィオン』で「本の雑誌 2017年度ノンジャンルのベスト10」第1位など、近年急速に注目を集める遠田潤子氏。2020年には『銀花の蔵』で直木賞初ノミネートを果たし、いま最も波に乗る作家の一人です。
最新作は、著者にとって初めてのロードノベル。真骨頂ともいえる、過去の翳を抱えた男たちの、時にユーモラスで時に心を切り裂かれる、濃密で熱い物語をぜひお楽しみください。

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