「人間の魂は死後も存続する」-ヴィクトリア朝・エドワード朝時代、動揺するキリスト教信仰に代わるかのように、魂の不死性を信じる心霊主義が抬頭した。多くの霊媒が現われ、家庭婦人や労働者、学者や貴族、聖職者まで、あらゆる階層の人々を巻き込んで、多彩なムーヴメントを形成した。ブラヴァツキーの神智学はなぜ、心霊主義と同じように来世を生き生きと描き出さなければならなかったのか。クルックスやウォレス、バレットやロッジは、心霊研究に何を見い出したのか。気鋭の女性歴史学者が、19世紀末の英国社会を活写し、その精神史をひもとく。