道教は儒教とならんで、いな儒教にもまして、中国人の精神構造を知るための関鍵である。1950年における原著の出版は、欧米の学界に大きな刺激を与えた。道教とは何ぞや、という問いに対して、マスペロが出した明晰な解答は、その大すじにおいて、いまだ乗りこえられぬ不滅の価値をもちつづけている。