手中一滴」は、日本の伝統美ともいえる盆栽を撮影したシリーズとなり、小さな鉢のなかで、人の手と水によってのみ生きる盆栽を、八ヶ岳や富士山麓の雄大な風景の中に置いた写真です。タイトル「手中一滴」とは、山本による造語で、「一滴の露にも宇宙が宿る」という禅の教えに基づいています。山本の写真も盆栽も、人が自然と向き合う中に、人の手から絞り出されるように生まれた作品です。そこには人と作品と自然が織りなす究極の美を追求した世界があります。そして、小さな盆栽が象徴する小宇宙に大宇宙が凝縮された世界&mdash&mdashその本質を「手中一滴」という独自の言葉に表したのです。