エルベ川で米英とソ連の兵士が邂逅して40年、戦後世界は冷戦下で"平和"を享受し、敗戦国日本では繁栄のなかで戦争が風化している。しかしヤルタ会談による戦後体制(ヤルタ体制)は、ヨーロッパに分断国家・民族離散の悲劇をもたらし、日ソ間に未解決の領土問題を作った。ルーズベルト、チャーチル、スターリンの3巨頭は、ヤルタで世界を冷然と分け合った-本書は、作家・政治家であり、ヤルタの専門家であるフランスの知性が、当時のヤルタをとりまく世界情勢と、そこに立ち会った人びとの心理や挙動にいたるまでを克明に描き、世界政治の冷厳な現実を浮き彫りにした、現代史の必読記録である。