集団就職で上京した郷子は、劣悪な環境に耐え切れず、職場の工場から逃亡した。そんな時、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に助けられ、そのまま店で働けることになった。周りの人たちの温かさに触れ、徐々に自分の居場所を見つけられるようになってきた郷子。そんな折、お客さんから心ない言葉を浴びせられ、心臓が早鐘を打ち出す。急に息苦しくなり、身体に異変を感じるが──。温もり溢れる料理と人々を描いた優しく沁みる物語。