ラッシュアワーの満員電車にはスピノザが現れ、強いタバコの香りとガムラン音楽の思い出は荻生徂徠の声を呼ぶ。世間論は『カラマーゾフの兄弟』の土の香りと交じり合い、『エヴァンゲリオン』はグノーシス主義の末裔としての資質を覗かせる。時代や地域、学問領域を超えて、セカイや人生のあらゆる一瞬を哲学的にひもとく、縦横無尽の思索の書。