• Publisherミシマ社
  • ISBN9784909394606
  • Publish Date2021年11月

ちゃぶ台 8(2021年秋/冬号) / 生活者のための総合雑誌 ミシマ社創業15周年記念号

特集:「さびしい」が、ひっくり返る
土井善晴(随筆)、津村記久子(エッセイ)、齋藤陽道(フォトエッセイ)、三好愛(絵と言葉)、斉藤倫(創作)、益田ミリ(漫画)・・・など、いま、私の「さびしい」が、足元から変わっていく!
生活者のための、新しい運動のかたちがここに――。
・松村圭一郎×村瀨孝生(対談)「弱さとアナキズム」
・藤原辰史(論考)「民間人について」
・工藤律子(ルポ)「人のつながり、命のつながり パンデミック下のスペインより」
他にも、珠玉の読み物が集結!!
滝口悠生(小説)、寄藤文平(絵と言葉)、榎本俊二(漫画)、中村明珍(エッセイ)、内田健太郎(エッセイ)、益田ミリ・平澤一平(漫画)、須山奈津希(漫画)、「面白い本屋さん」紹介コーナー・・・など。
さらに、ミシマ社創業15周年記念鼎談も必読!
中島岳志×辻山良雄(本屋Title)×三島邦弘「著者、書店主と考える これからの本のこと」
あまりに面白い雑誌になり、驚くばかりです。――本誌編集長・三島邦弘
*<「さびしい」が、ひっくり返る>に寄せて
 ちゃぶ台返しという言葉があるが、実際にするものではない。してはいけないと思う。家庭でそんなことをすれば、起死回生の関係回復より、崩壊が訪れる確率がずっと高くなる。仕事の現場でも、あの人のちゃぶ台返しのおかげで成功した、などとしばしば耳にするが、それは、ちゃぶ台返しというより、適切な軌道修正と言うのが正確だ。
 ただ、気分はわかる。長引く行動の自粛。先行きの見えない商売。ストレス発散もままならぬ日々。鬱屈とするのももっとも。あらゆるものを台に載せ、全てを投げ打ってしまいたい。そうして、0から再出発したい……。
 とはいえ、実際にストレスやら理不尽さからくる怒りを載せて爆発させると、自分たちが傷ついてしまう。一度や二度では済まないほどに怒る材料はあるわけで、身がもたない。
 では何をひっくり返す? と考えたとき、「さびしい」が脳裏に浮かんだ。
 理由は簡単。なんともいえず、さびしいのだ。仕事であれ日常生活の中であれ、人と会うことや接触が圧倒的に減った。そうして、だんだんとさびしさが募っていっている。いや、さびしくなったわけではない。生きることはもともとさびしいもの。それに気づかずにいただけかもしれない。ただ、確かにさびしいはある。
 その「さびしい」を、ひっくり返したい。
 本号では、尊敬してやまない書き手の方々に、さまざまな「さびしい」を載っけてもらい、ひっくり返してもらうことにした。そうしてみると、どんなことが起こるだろうか?<br /

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