●古典新訳に定評のある詩人による、暮らしに結びついたお経現代語訳、自然を見つめる明るいまなざし、「生きる」ことへのやわらかな希望のある極上エッセイ。耳でも味わいたい著者によるお経朗読9編をふくむCDつき。*寝たきりの母、独居する父。死に方がわからないかのように生きている親を見ていて考えた。「生きること死ぬこと」について、老い果てぬ前に準備をしたらいいのではないか。老いて死ぬ不安を、苦しみを、少しでも軽くする道はないか。遠いカリフォルニアから通いつつ看取りをつづけるうちに、娘はお経に出会った。 そして今、両親と夫の死を見届けて、誰もいなくなった荒れ地や海辺を、犬と歩く。日没を見て、月の出を見て、小さな生き物の生きざまを見る。雨を見て、風を見て、地震を見る。自然のめぐりと生きることと死ぬことが重なっていく。●「目次」から 父と母とお経とわたし開経偈「今、出遭いました」三帰依文「仏教に出遭えたミラクル」三宝礼「みをかがめます」 秋篠寺伎芸天/空般若心経「完成に向かって」二河白道「河を渡る」源信の白骨観「ホラホラ、これがおれの骨だ」九相詩「死体のあと」 「白骨」と「九相詩」源氏物語表白「紫式部の往生」風信帖「一通の手紙、空海から最澄へ」 雲/雨法華経薬草喩品偈「大きな木や小さな木」 骨/鏡/手紙、父へ阿弥陀経「浄土とはこんなところです」 犬になる四誓偈「四つの誓い」本誓偈「ただおこなえ」 犬を待つ/写真聞名得益偈 「みんないける」 ウサギ/スカンク/藪の中/巣立ち/キノコ法華経従地涌出品偈(部分) 「涌き出したボサツたち」法華経方便品(部分) 「なぜ仏は世にあらわれたか」法華経如来寿量品偈(自我偈) 「私が目ざめてからこのかた」 名前一切精霊偈「一切のたましいは」 7度21分40秒/日没/朝の月と満月発願文「ねがっています」 お盆を思う摂益文「み名をよぶ」 瓦礫のお城とただの草/サフラン 犬と怨憎会苦/料理しなくなって 春の小川 死んでいく人仏遺教経「最後のおはなし」総回向偈「あまねくひとしく」総願偈「あるいてゆきます」 あとがき主な参考文献