五感交響〝シシシロシカル″そこに〝イの樹木ノ君が立って来ていた!"(「〝木陰に、〝ユメの庭、・・・・・"〝シシシロシカル!"」)詩は果てしない長さを独力で、煉獄のなかで書いていく形式……石巻鮎川浜に歩を運びつづけ、土地と存在の声を感じつづけてきた旅人は、心の隅に差す光を綴るように、幽かな幻の道を辿っていく。太古の水脈をさかのぼり、遥かな未来へと突きぬける、渾身の言語行為。あらゆる感覚を響きあわせ、句読点やルビ、約物までもがざわめく、未生の光景がここに拓かれる。装幀=中島浩