己の信念のもと実直に生きてきた丈太郎、72歳。だが突然、妻の信子が自らの幸福を求め、意識改革を打ち出した。家庭に満足しつつも若い部下によろめく長男、仕事をもち意識の高い嫁、覇気のない小学生の孫……。高齢者の離婚、女性の自立、家族の崩壊という今日まで続く問題を、鋭く乾いた筆致でユーモラスに描く傑作小説。