人はことばを通じて世界を認識し規定し、ことばによって精神のあり方を刻印づけられる。ドイツ語の、重々しく深々としたゆたかなひびきや、最後まで緊張を要する、公明正大でごまかしのきかない表現構造などは、どんな人間像をはぐくみ、また映し出すか。ドイツ人はたくましくも頑強であり、明快かつ重厚な精神を失わず、強い自己主張と旺盛な自己実現への意欲をもつ。私たち日本人とは異質な文化世界への扉を開ける鍵がここにある。