かつて、農山村地域には、各種の集団活動において役割を果たすことにより、リーダーとしての能力を身につけていく人材育成の仕組みがあった。しかし地域コミュニティの衰退やリーダーの役割の変化によって、地域がもっていた人材育成機能はほとんど失われている。それでは農山村地域の人材育成のためにはいま何が必要か。ため池管理や草刈り、集落営農や継業、地域運営組織や街並み継承などの具体事例をもとに、人材育成のための新しい仕組みや手法を、9つのキーワードを使って提言する。
【目次】
はじめに 中塚雅也・山浦陽一
Ⅰ 「しごと」づくりと人材育成
1章 次世代育成と人材プール 髙田晋史
2章 起業家育成と地域密着型スクール 谷川智穂
3章 起業連鎖と行政イニシアティブ 中塚雅也・谷川智穂
4章 なりわいの継承と支援リレー 筒井一伸・尾原浩子・嵩和雄
Ⅱ 「くらし」づくりと人材育成
5章 ため池管理と役割リデザイン 柴崎浩平
6章 草刈り作業とスピンオフチーム 木原奈穂子
7章 集落営農継承と登用デザイン 髙田晋史・柴崎浩平
8章 地域運営組織とモチベーション・デザイン 山浦陽一
9章 街並み継承と人材パイプライン 内平隆之・安枝英俊
Ⅲ 「活力」づくりと人材育成
終章 地域再生と人材育成エコシステム 中塚雅也
私の読み方
本書の背景と論点―政策の視点から 小田切徳美