斉藤倫、待望の長篇書き下ろし。きみは、だれかの夢。きみは、だれかの未来。小学5年生の令は、ある日、トロイガルトという国の死刑囚レインとなった夢をみます。死ぬことを当たり前のように受け入れているその世界で、「わたしは、しなない」という少女シグに出会い、いつしか彼女をたすけたいと思うように・・・。一方現実での令は、合唱コンクールがせまる中、声変わりをからかわれ、歌うことから、自分と向きあうことから、目を背けようとします。しかしクラスメイトにたすけられ、たどりついた自分の新しい声は、ずっとそばにあったレインの声でした。その声に共鳴するかのように、夢と現実が重なりあい、やがて周りにいる人の記憶と世界の扉を開いていく――。子どもたちが未来に光をみつける、希望を描いた物語。