ダムや堰によって水の循環体系が人工化され、地勢と歴史に応じた個性をもつ川が護岸によって画一化して、人間は豊かな川辺環境から遠ざかりつつある。イトヨ、ハリヨ、トミヨなどトゲウオの仲間も繁殖地を失い、絶滅の危機に瀕している。小さな淡水魚を守り、多様な環境と生物相を維持することはふるさとの水文化を守ることにつながる。トゲウオ類の研究と保護活動を継続してきた著者が、地域住民主体の活動の広がりと可能性を説く。