介護される人は、どんな世界を生きているのだろう特養老人ホームの日常にあふれる謎。それは人生の軌跡につながっていた――『ワンダフル・ライフ』で「読書メーター OF THE YEAR 2021」総合第1位。重度障害者の妻と約30年寄り添う著者が紡ぐ、渾身の連作短編集。笑ったのち、7回泣けます。〈あらすじ〉大森康介は新米介護士。特別養護老人ホーム「まほろば園」で働き始めたものの、便臭にはまだ慣れることができない。しかも認知症の人、言葉が不明瞭な人相手の仕事は毎日が謎解きだ。認知症の登志子さんが一度だけ食欲を取り戻したのはなぜ? 口に麻痺のある當間(とうま)さんが言う暗号「アアイオウエ」の意味は? その答えにたどり着いた康介は、この仕事の面白さにちょっとだけ気づき……。