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  • 著者入江杏
  • 出版社小学館
  • ISBN9784093888554
  • 発行2022年6月

わたしからはじまる / 悲しみを物語るということ

わたしからはじまる魂の再生の物語

読みながらいっしょに沈んでいく。
壊れそうになる。
最後に、極微の勁(つよ)い光に射ぬかれる。
――鷲田清一さん(哲学者)

繊細な、こわれものとしての「悲しみ」を、
粗略に扱わない社会のために、
静かに読まれるべき一冊
――平野啓一郎さん(小説家)

上智大学グリーフケア研究所非常勤講師として、
悲しみにある人々に寄り添う活動を続けている
著者の入江杏さんは、2000年に起きた
「世田谷事件」の被害者遺族です。

隣に住む、愛する妹家族を失った悲しみは、
6年もの間、語られることはありませんでした。
語りにひらかれたきっかけについて、まえがきにこうあります。

心ない報道、周囲からの偏見と差別、沈黙を強いる母への抵抗……
わたしは語りへと突き動かされ、無我夢中で心の断片を拾い集めました。
そのかけらから恥を洗い流してみると、そこには透き通った悲しみが顕れました。
――まえがきより

”被害者遺族はこうあるべき”といった世の中の「大きな物語」に抗い、
「わたしの物語」を取り戻し、魂の再生へと向かう軌跡の書です。

【編集担当からのおすすめ情報】
世の中の「大きな物語」は、ときに人に苦しめることがあるように思います。
「家族は愛し合うもの」「母親はこうあるべき」などなど…
「大きな物語」ではなく「わたしの個の物語」を取り戻していくことで
ケアされることがあるという入江さんの考えに、私はとてもしっくりきました。
自分を掘り下げ、深めることで、人と深いところでつながることがある、
人とつながることで、ケアされることがある、と私は受けとりました。
入江さんの誠実な文章からは、勇気や希望を感じます。
生きづらさを抱えている人、悲しみや辛い状況にある人に読んでいただきたい本です。
また、いまという時代を知る大きなヒントがある一冊だと思います。

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