かつて、地域の憧れの場であり、家族がハレの日に楽しむ場所であったデパート。しかし、もはやその面影はなく、人々のデパート離れは止まるところを知らない。
デパート自身も半ば諦めたかのようなテナントモール化を推し進め、さらに集客力を弱めている。この悪循環から抜け出すためには発展・再生といった単純な成長概念ではなく、今ある環境に根差した経営観が不可欠だ。特に地方百貨店では、経済性よりも社会性を重視した経営が基本となっていくだろう。
業界紙「デパート新聞」社主である著者が、デパートマンとしての現場経験と10余年にわたる被災地支援で知った公益が持つ地方再生への可能性とデパートの公益性について具体的に考察する。