いまから112年前、佐々木喜善という若者が語り、柳田國男が筆録してなった「遠野物語」。日本民族学の記念碑的史料として、ときに巨大な背景をもつ文学作品として読まれ続けてきたこのテクストに、いまなお多くの人びとがひきつけられている。語り継ぐとはなにか、物語とはなにか、そして私たちはそれらとどのように向き合えばいいのか―。岩手の遠野に伝わる伝承が「物語」として私たちの前にあらわれた奇跡を、今あらためて考える特集。