いま、「徳川家康」像が大きく揺れ動いている!
徳川家康といえば、武田信玄に三方原の戦いで完敗した際、自画像を描かせ、慢心したときの戒めにしたとされる。「顰(しかみ)像」として知られる絵だが、近年、それは後世の作り話との説が出されている。それだけでなく、家康に関する研究は急速に進み、通説が見直されるようになっているのだ。
一例を挙げれば、家康の嫡男・松平信康が自害に追い込まれた事件は、織田信長の命令によるものとされてきた。しかし近年では、その事件の背景に、徳川家内部における家臣団の対立があったことが指摘されているのだ。
本書はそうした最新の研究動向を交えつつ、桶狭間の戦い、長篠の戦い、伊賀越え、関東移封、関ヶ原合戦など、家康の人生における9つの危機を取り上げ、それらの実相に迫りつつ、家康がそれをいかに乗り越えたかを解説する。そこから浮かび上がる、意外かつ新たな家康像とは――。
目次
●第一章 桶狭間の戦い―大混乱の中で下した決断
●第二章 三河一向一揆勃発―国内争乱、家臣の離反
●第三章 三方原の戦い―家の存亡と意地をかけた出撃
●第四章 長篠の戦い―信長の援軍で勝利
●第五章 松平信康殺害事件―原因は家臣団の対立か
●第六章 伊賀越え―最大の窮地を突破
●第七章 石川数正出奔騒動―秀吉への臣従を決断した背景
●第八章 関東移封―小田原征伐を惹起させた処罰か
●第九章 関ヶ原合戦―危機をチャンスに変えた戦略