本書は、戦前戦後を通じて長い間、知的青年の必読書として不動の位置を占めていた。この爆発的に読まれ続けた理由は、何が人生にとって大切であるかを、改めて自覚させる拠点を与えてくれたこと。また、本書が哲学への巧みな人門書であると同時に、デカルトやカントと並んで西田幾多郎の『自覚に於ける直観と反省』を取りあげて、現存する日本人の思索力を高く表価し、学問的な希望を与えてくれたからである。