アメリカ社会の“溝”を読み解くキーワード
挑発的な手法の大統領を生み、社会に大きな溝を残したアメリカ。その背景には「文化の否定」をめぐる応酬があった。2020年、黒人差別反対を訴えるブラック・ライブズ・マター(BLM)運動は、建国の英雄らの銅像が次々と引き倒される事態へと広がる。対して、保守派からは反論が巻き起こる。トランプ大統領(当時)は、ワシントンやジェファーソンら「建国の父祖」たちの像の撤去は、これまでの文化を否定する「キャンセルカルチャー」であるとした。ほんとうに歴史を清算するのか、どうしたら対立を乗り越えられるのか。BLMをはじめ、銃規制、同性婚、ダイバーシティ、妊娠中絶、移民など数々のもつれた糸を、2020年代のホットワード「キャンセルカルチャー」を縦軸にときほぐしていく。
【編集担当からのおすすめ情報】
本書は百科事典から生まれました。小学館の『日本大百科全書(ニッポニカ)』では、最新の事実に基づき、新たな項目を追加し、従来の項目の改訂を続けています。その中で2021年1月に就任したバイデン大統領の人物項目をはじめ、現代アメリカ政治の分野で項目執筆を担当したのが、本書の著者前嶋和弘氏です。百科事典項目のエッセンスを核に、アメリカの真実をさらに掘り下げたいという意図から生まれたのが『キャンセルカルチャー』なのです。