健康志向の高まりや新型コロナウイルスの影響もあって酒離れが進む一方、日本ウイスキーの世界的な評価は高まり、国際的に活躍するバーテンダー、著名なバーが生まれつつある。ウイスキーの蒸留所、クラフトビールやワインの醸造所が各地に誕生し、大量生産の「文明の酒」から地域に根ざした「文化の酒」への揺り戻しが起きつつある。日本酒では出荷量全体では右肩下がりだが、純米や吟醸などの特定名称酒は堅調で、量から質への転換が進んでいる。
本著では、「ジャンルを超えたニッポンの酒 36人のストーリー」とサブテーマに掲げ、人と酒の物語を探し、大きく変わりつつある日本の酒文化を見つめる。バーテンダー、杜氏、漫画家、食文化研究家など、ニッポンの酒を共通項として、作り手や売り手など様々な立場の人たちを追い、酒にまつわるストーリーを展開している。酒の知識がなくても、読み物としても楽しめる一冊。