情報社会を支配する相互評価のゲームの〈外部〉を求め、「僕」は旅立った。そこで出会う村上春樹、ハンナ・アーレント、コリン・ウィルソン、吉本隆明、そしてアラビアのロレンス――。20世紀を速く、タフに走り抜けた先人の達成と挫折から、21世紀に望まれる主体像を探る「批評」的冒険譚。目次第1部 パンデミックからインフォデミックへ1 パンデミックが閉じ込める2 「動員の革命」をめぐって3 閉じたネットワークと相互評価のゲーム4 無力な妥当さと空回りするパフォーマンス5 ドナルド・トランプ再び6 弱さのマーケティング7 「第三極」はなぜ機能しないのか8 「遅い」インターネット9 東京の「砂漠」とその喪失第2部 アラビアのロレンス問題10 アラビアのロレンスをさがして11 ある私生児の来歴12 アラビア「での」ロレンス13 ブラフ・シューペリアと樺の鞭14 英雄とペテン師15 〈グレート・ゲーム〉のメカニズム ― ハンナ・アーレント『全体主義の起原』16 預言者の身体 ― コリン・ウィルソン『アウトサイダー』17 名前と運命 ― デヴィッド・リーンと性の問題18 三島由紀夫と「遅れてきた青年」19 ロレンスにとって「砂漠」とは何か20 謝罪と訂正第3部 村上春樹と「壁抜け」のこと21 村上RADIOと京都マラソン22 「コミットメント」のゆくえ23 悪と性搾取24 「壁抜け」の問題25 1984年のヨガ教室26 ステップファミリーと「悪」の消失27 父性の軟着陸28 駅とインターネット29 男のいない男たち第4部 脱ゲーム的身体30 「自立」をめぐって31 関係性の対幻想とゲームの複数化32 脱ゲームの条件33 「少なくとも最後まで歩かなかった」34 ランナーの思想35 速度と接続性36 歴史に「見られて」いる37 虫の眼38 プラットフォームから、庭へ