京都を暮らすように旅する――。
市民運動のやり過ぎから免疫低下でがんになった。治療の後、体にいいことをするため京都へときどき転地。
気功をし、映画を見、銭湯に入り、ごはんを食べて語り合う。観光客の集まる古都とは違う何かが見えてくる。
【「はじめに」より】
還暦を過ぎて、ふたたび京都に通うようになった。
それまでは、仕事で行っても、ゆっくり滞在しないですぐに帰ってきた。ホテルも高いし、食べ物屋も高い。名所旧跡は混んでいる。もうひととおり見ちゃったしな。それも今よりずっと空いている、風情のある時代に。それに私は京都がなんとなく苦手だった。理由は判然としない。しかし、大きな病を得て、私は京都で樹木気功をやることにしたのである。