わが国のキリシタン伝説は、奇蹟譚、殉教譚をはじめ、摩訶不思議、奇想天外、荒唐無稽な魔術、妖怪譚まで多種多彩である。これらの話には聖書物語や教義の仮託・訛伝、昔話や伝説との著しい類似もみられる。そこに伝説としての面白さや、キリスト教の日本土着化の過程なども窺われて興味深い。本書はそれぞれの時代の伝説の特色、関連事項などを付しながら紹介したキリシタン伝説集である。