近代都市計画の祖・ハワードが提唱した田園都市は、柳田国男、大平正芳の田園都市国家構想へとどのように受け継がれてきたか。その秘められた系譜に光を当てる。
一九八〇年に当時の大平正芳首相のもと、当代一流の知を結集してつくられた「田園都市国家構想」。それは人間的で文化的な国家を目指すすぐれた長期的国家ビジョンであった。その構想の原点となったエベネザー・ハワードの田園都市構想、それを発展させた農政学者・柳田国男による知られざる日本独自の分権的田園都市構想を検証。大平構想にあった家庭や地域コミュニティ、自然や文化の回復、そして国家と都市、地方が調和して発展するというビジョンを二一世紀に再生させる試み。