トラックの運転手をしている主人公。ある日の帰り道、テニスコートでテニスをする人々が目に入る。テニスを楽しんでいる人々。特にコーチが明るい人で、生徒への声かけもしっかりしている。主人公は、昔はインターハイの優勝候補とすら言われていたが、テニスと縁を切った生活をして久しい。コーチの姿を見ながら、自分はなぜこうなれなかったんだろうと思いつつ、帰宅する。
家では長くうつ病を患っている妻が眠っている。夫婦二人で支え合って生きてきた。
ある日会社で開かれたメンタルトレーニングの講座で、この間見かけたテニスコーチに会う。そして、彼と出会ったことで主人公は変わっていく。…いや、もとに戻っていくというのか。出た息が肺の中に入っていくように…
最近肩や背中が凝っている人、呼吸が浅くなっている人、何も気にせずに深くため息をつけない人、現代に生きる、多くの吐き出せていない人へ。