「自分のもつ能力を最大限に発揮するのはやっぱり面白い。たぶん、面白いと感じるようにできている。(…)ナツすら山旅犬としての能力を発揮する瞬間瞬間を楽しんでいるように見える。存在の理由や意味など考えずに、ただ脳内の快楽物質が生成される刹那を求めて生きている。人は犬のようになれないのか?」
この旅で50歳を迎えたサバイバル登山家が、現金もクレジットカードも持たず、愛犬ナツを連れて、宗谷岬から襟裳岬まで、晩秋の北海道南北分水嶺700kmをまる2か月かけて歩き通した。背負っている食料は米と調味料だけ。河原で野営し、おかずは鹿を撃って食いつなぐ。新雪の大雪山系を越え、さらに日高山脈を南へ。著者のサバイバル経験の集大成とも言える旅のドキュメント。