まもなく国家の財政は破綻します!
出版社の営業・池内貴弘は急な異動で月刊誌の経済担当に。新たな職場に戸惑う最中、叔母から不動産運用に関して相談を受ける。執拗に融資を持ちかける担当者は、なんと仙台の地銀に勤務する池内の元恋人だった。
池内は面会するも、直後に彼女は自殺してしまう。一体なぜ? 周辺取材から見えてきたのは苦境の地銀と、過酷なノルマだった。彼女はその処方箋を求めて、ある男に会っていたという。
古賀遼、人は彼を金融界の掃除屋と呼ぶ。政界の重鎮の命を受け、日銀総裁人事にも関与していたようだ。池内は、古賀の暗躍を白日のもとに晒そうと奔走するが――。
この小説は経済記事よりリアルだ――解説・原真人氏(朝日新聞編集委員)
【編集担当からのおすすめ情報】
本書は一級のミステリであると同時に、ノンフィクション要素を存分に盛り込んだヤバい経済小説です。アシノミクスや赤間レーザービームの元ネタは言うに及ばず。異様なほど金融政策に依存した財政運営がなぜ、世の中に受け入れられているか、それがどんなに恐ろしいことか。事実は小説より奇なり、とも言える現況を経済記者出身ならではの手法で因数分解し、エンタメとして再構築しているのが本書です。異次元金融緩和の出口は見つかるか…。現実世界で、日本経済のどんでん返しが起こらないことを願うばかりです。