1938(昭和13)年、日本で女性が初めて司法試験に合格し、1940(昭和15)年に3人の女性法曹が誕生した。そのひとりが、戦後初めて女性の判事・裁判所長となり、家庭裁判所創設にもかかわった三淵嘉子さんである。
三淵さんは、女性が参政権さえ持たない=立法に携わることさえできない時代に、明治大学で法律を学び、弁護士になった。
太平洋戦争、慣れない田舎での疎開生活、家族との別れ……激動の時代を経て、残った家族を養うため、三淵さんは裁判官になる。
最高裁判所では、同僚たちと家庭裁判所の設立に向けて奔走する。
***
女性の社会的活躍が期待される今日、その先駆者である三淵さんから学ぶところは多い。
本書は、丁寧な取材によって書き上げられた三淵さんの評伝とゆかりの人々の人物像、実弟や後輩の証言を通じて、三淵嘉子さんの人となり、足跡を紹介する。