父親と二人、森の中で半分自給自足の生活をしてきた少女オクトーバー。自分たちが「野生」であることに誇りを持ち、巣から落ちたメンフクロウの赤ちゃんを大切に育てていた。が、11歳の誕生日に転機が訪れる。父親が大怪我を負って入院し、「母親とかいうひと」と都会で暮らすことになったのだ。フクロウも保護センターに預けなければならない。都会の暮らしに全力で反抗するオクトーバー。その中で、友だちと呼べる子に出会ったり、ロンドンでも「自然」を感じられるテムズ川に癒されたり、徐々に心がほどけていく。揺れる少女の心理が詩のような文章で繊細につづられる、2022年のカーネギー賞受賞作。