江戸後期、数回にわたり千島方面を探検、択捉(エトロフ)島に「大日本恵登呂府」という標柱を建てるなど、北方の開択・防備に尽くした英傑・近藤重蔵。のち書物奉行となり、多くの著者を残したが、そのスケールの大きさと旺盛な研究心はかえって幕閣の反感を買い、ついには、長男・富蔵の殺傷事件に連座して悲壮な最期を遂げる-。綿密な文献調査と取材をもとに、重蔵と富蔵父子の愛憎に彩られた親子関係を浮き彫りにしつつ、二人の足跡を辿った書き下ろし歴史巨編。