ふたりはいつの日か、本当の母子になれるのか。藩の要職につく岩井長弼の妻・十和に悲報が届く。藩校に通う子供同士の諍いが原因で、十五歳の息子・誠志郎が下級武士の子息・谷田小太郎に誤って斬り殺されたというのだ。跡取りを亡くした長弼は、十歳にして文武両道と評判の小太郎を養子に迎えることに。我が子を殺めた咎人の“母”となった十和の心は乱れ、小太郎も苦悩と悔恨の日々を送るが……。