三文怪談作家の「くもはち」と、のっぺら坊の挿絵画家「むじな」。二人が出会ったのは小泉八雲の怪談の舞台である紀伊國坂だった。その日行われる八雲=ラフカディオ・ハーンの葬儀を取材して怪談に仕立てるのだ。葬列にもぐりこんだ二人は、ハーンの雇った探偵に見張られていると悩む帝大教師、夏目金之助に出会う。その監視者の意外な正体とは-。(「怪談と十五銭」)くもはち、むじなの怪談コンビが明治を疾り、謎を明かす。妖怪ミステリーの傑作短篇集。