深更、濃霧の中を彷徨って帰宅した三輪与志に、瀕死の兄高志が語り始める。自ら唱える"窮極の革命"理論に端を発した、密告者のリンチ事件と恋人の心中、さらに"窮極の秘密を打ち明ける夢魔"との対決。弟の与志はじっと聴きいる。外は深い、怖ろしいほどの濃闇と静寂。兄の告白は、弟の渇し求める"虚体"とどう関わるのか。『死霊』第一の山場五章を中心に四章六章を収録。