今世紀フランスを代表する作家ユルスナールに魅せられた筆者が、作家と作中人物の精神の遍歴を自らの生きた軌跡と重ね、パリ、アレキサンドリア、ローマ、アテネ、そして作家終焉の地マウント・デザート島へと記憶の断片を紡いでゆく。世の流れに逆らうことによって文章を熟成させていったひとりの女性への深い共感、共にことばで生きるものの迷いと悲しみを静謐な筆致で綴った生前最後の著作。
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