作家武田泰淳氏は、政治家(宇垣・浜口・近衛・重光・鳩山など)の文章を取りあげて、その人間像を見事に描き出す。少年時代の作文、憂国の心情を吐露したもの、艶福の想い出を書いたもの、そして遺書などを縦横に解剖する中から、政治を動かした人間と時代の交鎖を描き出し、大正・昭和の深部をのぞく興味とともに日本人というものを考えさせるユニークな書。