19世紀後半、産業革命はすでに終え、議会制民主主義を確立し「世界の盟主」をもって任じたヴィクトリア朝英国。繁栄を極め、「紳士の国」を標榜する文化を生み出したこの時代は、一方で、性風俗・性文化の爛熟した時代であった。古典的ポルノグラフィーの金字塔とされる『我が秘密の生涯』を発掘したことで知られる本書は、文芸批評と社会学的分析の手法を駆使して、ポルノグラフィーの深層にまで踏み込み、時代を支配する「性的ファンタジー」の存在を浮き彫りにする。